ダイエット外来
はじめに
近年、食生活や運動習慣の変化から肥満者が急増し、その結果、2型糖尿病、脂質代謝異常症、高血圧、膝関節症などの疾患を引き起こしたり、がんの発生頻度が増加するといわれています。このような生活習慣病をまとめてメタボリックシンドロームと呼び、放置すると動脈硬化が進行し、脳梗塞、心筋梗塞などの致命的な疾患をもたらします。
現代医学では高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症などの個別疾患に対して薬を使った対症療法は可能であり、ある程度のメタボリックシンドロームの進行を抑制することが可能です。しかしながら、根本的な治療には肥満の改善、つまり「ダイエット」が必要不可欠です。
単なる「肥満」と、治療が必要な「肥満症」の違いとは?
Body mass index(BMI)が25以上の方を「肥満」と判定します。
※BMI・・・体重 (kg) ÷ 身長 (m) ÷ 身長 (m)
あなたのBMIは?
以下の空欄に身長(cm)、体重(kg)を入力し、BMIを計算してみましょう。
身長 cm 体重 ㎏
あなたのBMI ・・・
BMIの標準値は、22とされています。
BMI25以上で、下図で肥満症に該当する方は、ダイエット診療の対象となります。なお、健康障害があるかどうか、内臓脂肪蓄積があるかどうかがわからない方は当院へご相談ください。
治療対象となる患者さん
BMI 25kg/m2以上で健康障害があるか、または内臓脂肪蓄積がある方。
BMI 35kg/m2以上の高度肥満の方。
治療内容について
本来的には、より減量効果のあるダイエット入院がおすすめです。しかし、仕事などでお忙しい方には、外来での食事指導および漢方薬によるダイエット診療を行っています。食事療法に関しては、糖質制限食またはカロリー制限食(エネルギー制限食)の指導をご本人の希望にあわせて行っています。
ダイエット治療の流れ
事前連絡
外来受診される前に必ず下記までご連絡ください。
TEL:026-278-2031(代表)
以下の入力フォームからもお問い合わせいただけます。
外来初診
初診時は、検査がありますので朝食はとらずに来院してください。
ダイエット診療開始までの検査
血液・尿検査、糖負荷試験、腹部エコー、腹部CT(内臓脂肪面積測定)
(肥満症に合併することの多い胃がん、大腸がんのチェックの胃カメラ、大腸カメラも随時行っています)
ダイエット入院
当科でのダイエット診療では、糖質制限食の食事療法を中心とした教育入院であるダイエット入院を一番にお勧めしています。ダイエット入院では、7泊8日の入院をしていただき、その間に徹底的に様々な減量方法をお教えします。前川医師の研究によると、糖質制限食の教育入院を行った方が、外来のみで糖質制限食やカロリー制限食の指導を行うよりも有意に減量効果を認めており、1年間で平均約17%の体重減少を認めています。前川医師はこれまで500人以上の患者さんの教育入院および2年間の外来フォローを行ってきました。
肥満症克服には患者さんご本人の学習が非常に大切であり、1週間の集中学習期間となるダイエット入院はとても有意義と思われます。入院後は、食事療法・運動療法・行動療法・薬物療法の4つの柱に従って減量していただきます。なお、減量目標は患者さんそれぞれで異なるため、医師との相談の上で決めさせていただきます。
*当院は(一社)日本糖質制限医療推進協会 提携医療機関です。
ダイエット入院のスケジュール例
入院1日目(木曜日)

- 10時
- 入院 資料配布
- 12時
- 昼食→入院期間中、糖質制限食の食事を実践していただきます。
- 16時~17時
- 前川医師による講義 (特に食事療法、行動療法について)
- 18時
- 夕食

*空いた時間には、当院推薦の糖質制限食に関する本を熟読していただきます。体重測定は毎日、血糖測定は毎食前、夕食後2時間の4回測定します。空いた時間に肥満治療の補助として用いる漢方薬について薬剤師からの説明があります。
入院2日目(金曜日)

- 7時
- 朝食
- 12時
- 昼食
- 15時~16時
- 管理栄養士による集団栄養指導を行います(個別栄養指導については随時行います)。
- 18時
- 夕食
*30回咀嚼法やグラフ化体重日記の記載などの行動療法のチェックも随時行います。入院1日目の講義の復習、糖質制限食に関する本での学習は継続していただきます。
入院3日目(土曜日)

- 7時
- 朝食
- 12時
- 昼食
- 14時~15時
- 理学療法士による運動療法の指導を行います。
- 18時
- 夕食
*運動療法では、有酸素運動と無酸素運動を組み合わせて行うことが減量治療において有効です。運動療法指導後は、エアロバイクなどの機器の使用はいつでも可能です。
入院4日目(日曜日)

- 7時
- 朝食
- 12時
- 昼食
- 18時
- 夕食
*糖質制限食を実践し、行動療法も継続しつつ、自己学習および運動療法に励んでいただきます。
入院5日目(月曜日)

- 7時
- 朝食
- 12時
- 昼食
- 18時
- 夕食
*肥満の方の大半は糖質依存症であり、精神的ストレスのはけ口として、糖質を多量に摂取している患者さんが多数います。そのためダイエット入院では、入院5日目に心療内科の福家医師の診察を受けて頂き、肥満に対する心療内科的なアプローチに取り組んでもらいます(希望者のみ)。
入院6日目(火曜日)

- 7時
- 朝食
- 11時
- ダイエット治療に関するテスト(30問、30分)
- 12時
- 昼食
- 18時
- 夕食
*ダイエット入院中に学習したことについて、30問の正誤テストを行っていただきます。ご自身のダイエット治療についての理解度を確認できると思います。
入院7日目(水曜日)

- 7時
- 朝食
- 12時~13時
- 患者さん、医師、看護師、栄養士、理学療法士による昼食会
- 18時
- 夕食
*昼食会では、ともに糖質制限食を食べながら、ダイエット診療にかかわるスタッフが個々の患者さんの質問に懇切丁寧にお答えします。体験された患者さんにとても好評です。
入院8日目(木曜日)

- 7時
- 朝食
- 10時
- 退院
糖質制限食の最後の食事を実践し、1週間のダイエット入院による成果を体重測定で確認していただきます。この入院期間中に大半の方が2~5㎏の体重を減らすことができます。
*なお、脂肪肝による肝障害がある方は、局所麻酔で肝臓の組織を採取するため、入院が1日延びます。
ダイエット入院後のフォロー

ダイエット入院はあくまで教育入院であり、学んだことを継続していくことこそが、最も大切なことです。当科では、退院後半年までは月1回、半年~2年までは3か月に1回の外来フォローを行い、患者さんのダイエットをサポートしていきます。
(遠方の方の外来フォローに関しては、個別に相談させて頂きます)
治療を受けるにあたって
肥満の改善、体重の維持は患者さん自身の一生の課題であり、患者さん自身の病気に対する知識、理解および前向きな姿勢が非常に重要になってきます。医療機関にすべてお任せの姿勢では肥満症の治療は非常に困難です。私たちはいかに患者さんの健康維持をサポートしていくかに重点を置き、患者さんの努力を促す方向で診療を行っております。肥満改善にやる気のある方はぜひご相談ください。
お問合せ先
JA長野厚生連 長野松代総合病院 ダイエット科
TEL:026-278-2031(代表)
以下の入力フォームからもお問い合わせいただけます。